この記事では、ホームセンターやネット通販で簡単に入る棚板がどのくらいたわむのか、参考まで示していきます。
また、計算の元になる棚板のヤング係数(弾性係数)のデータもまとめます。
DIYで棚を作るとき、数多くの板の中で、見た目以外にどの基準で棚板を選べばよいか、迷います。
特に、棚によるものを載せたときどのくらいたわむのか、実際に置く前にあたりをつけたいところですね。
実は、たわみの大きさは板の仕様が決まれば、構造計算で求まります。
集成材の棚板強度
手に入りやすい集成材といえば、パイン集成材、桧集成材、杉集成材があげられます。
ほかにも、アカシア集成材、ファルカタ集成材、ラバーウッド集成材(ゴムの木)などもあります。
最初に挙げた、パイン、ヒノキ、杉を比較していきましょう。
木の種類ごとの曲がりやすさは、ヤング係数と呼ぶ特性値でわかります。
曲げヤング係数 | データ元 | |
パイン集成材 (ラジアータパイン) | 10,000 N/mm2 | (a) |
ヒノキ集成材 | 11,000 N/mm2 | (a) |
スギ集成材 | 8,000 N/mm2 | (a) |
この三種の集成材の中では、ヒノキが一番曲がりにくく、次いでパイン、最後にスギの順番です。
実際の棚をイメージして、どのくらいたわみそうか求めます。
幅が90cm、奥行きが15cm、厚みが18mmの集成材の棚板を、両端だけ保持して中心に2kgの重し(例えば2Lの飲み物入りペットボトル)を置くとしましょう。
すると、計算で求めたたわみは図のようになります。比較のため、DIYでおなじみのSPF材を記載しました。
中央付近がたわんで沈みますが、大きくても 0.5mmです。
どの木を選択してもたわみは小さいので、強度は気にせず板の外観で選んでよいでしょう。
横幅を増やすとたわみやすくなりますので、板の厚みを増やすことをおすすめします。
合板の棚板強度
手に入りやすい合板といえば、ベニヤ合板(ラワンベニヤ合板)、針葉樹合板、コンパネがあげられます。
ほかにも、ランバーコア合板などもあります。
ここに挙げた、ラワンベニヤ、針葉樹合板、コンパネ、ランバーコアを比較していきましょう。
集成材で説明した通り、ヤング係数の数値で比較します。
曲げヤング係数 | データ元 | |
ラワンベニヤ合板 | 5,500 N/mm2 | (b) |
針葉樹合板 | 4,000 N/mm2 | (b) |
コンパネ | 6,000 N/mm2 | (c) |
ランバーコア (ファルカタ芯) | 7,900 N/mm2 | (d) |
この四種の合板の中では、ランバーコアが一番曲がりにくく、次いでコンパネ、ラワンベニヤ合板と続き、最後に針葉樹合板の順番です。
実際の棚をイメージしてみます。幅が90cm、奥行きが15cm、厚みが18mmの合板の棚板を、両端だけ保持して中心に2kgの重し(例えば2Lの飲み物入りペットボトル)を置くとしましょう。
すると、計算で求めたたわみは図のようになります。比較のため、棚板としておなじみのメラミン化粧板を記載しました。
中央付近がたわんで沈み、針葉樹合板が1mmと大きくたわみます。メラミン化粧板、コンパネもたわみが大きいです。
板厚を増やすか、棚板の幅を狭めたり、中間にも棚受けを入れるなど、たわみにくくなる改良を加えましょう。
単板の棚板強度
手に入りやすい単板といえば、SPF材、ホワイトウッド、サーモウッド、杉があげられます。
ほかにも、タモやナラなどもあります。
ここに挙げた、SPF、ホワイトウッド、サーモウッドを比較していきましょう。
曲げヤング係数 | データ元 | |
SPF | 10,500 N/mm2 | (d) |
ホワイトウッド | 8,800 N/mm2 | (d) |
サーモウッド | 11,700 N/mm2 | (e) |
杉 | 7,900 N/mm2 | (d) |
この四種の合板の中では、サーモウッドが一番曲がりにくく、次いでSPF、ホワイトウッドと続き、最後にスギの順番です。
実際の棚をイメージしてみます。幅が90cm、奥行きが15cm、厚みが18mmの合板の棚板を、両端だけ保持して中心に2kgの重し(例えば2Lの飲み物入りペットボトル)を置くとしましょう。
すると、計算で求めたたわみは図のようになります。比較のため、代表的な合板のラワンベニヤ合板を記載しました。
中央付近がたわんで沈み、ホワイトウッドが0.5mmと大きくたわみます。たわみが1mm近いラワンベニヤ合板ほどはたわみません。
この強い単板を、どこにでも使えると良いですね。
ただし、元の木から一枚板で切り出すため、元の木の直径よりも大きな奥行きの板は入手が難しいです。
強度の比較
板の構成でざっくりと強度の順位付けをすると
単板 > 集成材 > 合板 ≒ 化粧板
となります。
棚板選びは、表面の柄や風合いを重視することが多いのではないでしょうか。
見た目で候補を絞り込んだ上で、木材の種類で迷ったら、上記の順に選んでいくと良いでしょう。
重量が大きいものを載せるつもりなら、初めから単板や集成材を選びます。
軽いものしか載せないなら、合板や化粧板でも構いません。
データ元
(a) 集成材の日本農林規格(JAS規格) – 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kikaku_itiran2-239.pdf
(b) 東京合板工業組合・東北合板工業組合
https://www.ply-wood.net/media/kouzouyou-1-8.pdf
(c) 合板の日本農林規格(JAS規格) – 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_53.pdf
(d) 株式会社マルホン
https://www.mokuzai.com/WorldWood/
(e) 池上産業株式会社
http://woodwise.jp/wordpress/wp-content/uploads/thermowood_structural_properties_v1.pdf