ドアクローザーが付いたドアは、手始めにドアクローザーの調整弁をドライバー等で回して、静かに閉まる状態に保持します。
ドアクローザーがない室内ドアは、ラッチの当たり方や滑りを改善します。ラッチ本体を静音タイプに取り換えることも可能です。
(樹脂付きラッチで音が小さくなりました)
解説
ドアクローザーがあるドアの対策は?
玄関ドアには、ドアが閉まる速度を調整するドアクローザーが付いてます。内部に作動油が充てんされており、油の流量調節弁を回すとドアの動きが変わるので、音が小さくなるよう調整します。

玄関ドアが閉まるときにガチャンとうるさい音を出したり、ガチャガチャとラッチ音が鳴ると困ることがあります。
夜間に上下階から開ける音を聞かされた隣人は、怒ってしまうでしょう。
第一の対処法は、ドアクローザーの調整です。
開き戸の玄関ドアであれば、たいていはドアの上部にドアクローザーがつけられています。
ドアクローザーは、ドアが開きっぱなしにならないよう閉まる方向へ引き戻す機能と、閉まる時のスピードを調整する機能を持ちます。
この調整はユーザーが工具で行えます。
以下で説明していきます。
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ドアクローザーとは?
クローザーの中はどうなっていると思いますか。
基本的には、コイルスプリングとピストンを連結した部品が入っていて、
ドアを開けた時にピストンがスプリングを収縮させる
ドアから手を離すとスプリングが戻ってドアが閉まる
という動きを生み出しています。
ですが、単純にスプリングの力だけで閉まると勢いよく閉まってしまいますよね。
実は、戻る速さを抑えるため、粘り気のある作動油が内部に充てんされています。
ピストンが動くときに連動して作動油が決まった流路で移動し、ピストンの動きを遅らせる働きをします。つまり、油圧機構が備わっています。
ドアクローザの大手、リョービ株式会社の特許から構造図を引用します(特許第4753712号)。

左半分はスプリングを示し、右半分はピストンを示しています。
ドアが開くとき、閉じるときの作動油の流れを矢印で示しました。
ドアが開くときに、ピストンが太い赤矢印のように左に向かい、作動油は勢いよく右側の空のスペースに移動します。
閉まるときは逆に、作動油の流路が細いため左側の方へゆっくり戻ります。


ドアが閉まるスピードを調整するため、調整弁があり、作動油の流量を変えることができます。
本体に貼られている油圧調整の方法に従って、調整弁を回転させて調整します。
通常、閉まり始め、閉まり終わり、ラッチングアクションの3ヶ所の速さを変えることができます。
基本的にネジを締める(右に回す)と閉まり方が遅くなりますが、ドアの重さや好みの静かさになるまで粘り強く行います。
ドアクローザーの調整は、賃貸住宅でも普通にやって構いません。
【ポイント】
閉まる速度をコントロールしているのは作動油の粘性(流れにくさ)です、
夏場と冬場の気温の違いで粘性は変わります。しょっちゅう調整するところではないので、ちょうど良い、ご自分が許容できる作動ポイントを探すことが重要です。
分譲マンションや24時間換気の住宅など、室内の気密性が高い場合、ドアが閉まる時に室内に押し込む空気の逃げ場がなく、ドアが閉まり切らない場合があります。
このときは、多少はうるさくなるのを承知で、閉まり切る直前のスピード(ラッチングアクションのスピード)を上げて勢いを保つ必要があります。
反対に、窓が空いていて、室内空気の逃げ場がある状態でドアクローザーを調整すると、冬場のように窓を閉め切った時に閉まりが悪くなる場合があります。
このときは、窓を閉めてドアクローザーの調整をするようにします。
速度調整ネジを左右いずれかに回転させて、適切な速度で閉まるように調整します。適正な速度は、ドアの閉じ始めから閉じ終わりまで大体5~8秒とされています。これを目安に調整しましょう。(参考サイト⇒ドアクローザーの修理・交換について・ロイヤルホームセンター DIY Clip!
ドアクローザーがないときは?
室内ドアは、ラッチ本体に当たり音をやわらげる緩衝テープを貼る、潤滑スプレーで動きを滑らかにする、ドア本体の当たりをゴムで和らげる方法があります。

室内ドアにはドアクローザはついておらず、ドアの開放をさまたげるステーのみがついていることが多いです。
このドアのうるさい原因には、
ドアのラッチがストライク(ラッチ受け)に当たる時のカチャカチャ音、
ドアノブを回してラッチが引き込む時のカチャリ音、
ドア本体がドア枠に当たる時のバタン音
が挙げられます。
ラッチの当たり音を小さくするには?
ラッチがストライクにあたる金属音や、ラッチが引き込む時の金属音は、ラッチに単なる緩衝材を貼ってみて逆に動きが悪くなると困ります。
この解決方法は、厚みの大きい両面テープを貼り、はくり紙をつけたまま使うやりかたです。

ラッチには、すでにストライクとこすれた跡がついていますね。その跡をおおうように、厚みのある両面テープを貼りつけます。
ここのポイントは二点、
ラッチが当たったときの動きを良くするため、なるべく滑りの良いもので表面をおおう
この条件をみたした上で、クッション性がある素材(肉厚の両面テープ)で金属音を減らす
カチャリという音は消すところまでいきませんが、小さく、低くなります。
また、ラッチの最も出っ張った部位(ラッチボルト)だけが白い樹脂(滑りが良い樹脂)でできていて、ラッチ受けとあたる金属音がしにくい消音ラッチが、インテリア部品各社から市販されています。
チューブラッチと検索して、自分のドアラッチメーカーと合うか、交換できそうか、調べてみると良いでしょう。
チューブラッチは1,000円程度からありますので、気軽に交換できます。
ラッチの滑りを良くするには?
賃貸などで部品交換は考えられない場合でも、滑りをよくする潤滑剤を塗るなどして改善をはかることもできます。
鍵穴のすべりを改善する用途で売られている、パウダータイプの潤滑剤が良いです。
ラッチがストライクに当たる音には効きませんが、ドアノブを回したときの音や滑りを改善できます。
鍵穴専用潤滑剤と間違えて普通のオイルタイプ潤滑剤を使ってしまうと、オイルにホコリがからまって詰まり、面倒なことになるので、正しい商品へのリンクを貼っておきます。
滑りを良くするといって筆頭にあがるのは、くっつかないフライパンのコーティングに使われるフッ素樹脂ですが、それなりに高価です。シリコーン潤滑剤は安くて効果が出やすいです。
ドアが枠に当たる音を消すには?
ドア本体がドア枠にあたる音は、100均でも手に入る防音ゴムで消すのが良いでしょう。
硬いドアと枠が当たっている場所を慎重に見定めて、ラッチがしっかり閉まる程度に薄い防音ゴムを貼ります。
適度に薄くしないと、ドアラッチがストライクに入り込まず、ドアがきっちりと閉まらなくなります。