回答:
ロードバイク程度の重量に対して安全率が高い構造になっている。推奨通り施工すれば問題はないいえる。
解説
壁美人で壁掛けロードバイクを実現できるか
賃貸でも、狭いワンルームや1Kでも、一人暮らしの作業で壁付け収納を作れる!ホッチキスで固定するので、壁に付けた傷がわからず原状回復も問題ない、という触れ込みのDIY部品「壁美人」が口コミで広まっています。
壁にほとんど傷をつけず、色々なものを壁掛けにできるという便利なグッズです。例えば、ロードバイクを壁掛けで収納するバイクマンという商品も販売されています。
しかし、ホッチキスの針の力で本当にロードバイクが掛けられるの?大丈夫?思うかたもいることでしょう。
どのくらい信用して良いのか、数字で検証してみます。
ホッチキスの針が受ける重量
耐荷重が15キロのロードバイク壁掛け部品を検証します。標準の24kg用壁用金具を三つ取り付ける仕様になっています。
ホッチキスの針を刺す穴が、一列当たり8箇所空いています。これが上段に一列、下段に一列備わっています。
ホッチキスの穴は一つあたり二本の針を刺します。8箇所の穴にすべて刺すと針は16本になります。2列ありますので、32本の針が刺さります。
メーカー調べでは、ホッチキスの針を石膏ボードに刺すと、下向きには約3.7キロの保持力、引き抜き方向に約1キロの保持力があります。であるならば、引き抜き方向に32キロの保持力があるということになります。壁用金具は三枚使いますので、96kgということになります。
とはいえ、メーカーが提供する数字は理想的なもので、実際に消費者が施工するともっと弱いかもしれませんね。そんな不安もよぎりますので、より細かく考えていきます。そのために、壁美人にかかる力の分解が必要です。
(以下では直感的にわかるよう、構造理解を単純化しているため数値は精密ではありません)
ロードバイクの重さを力で分解する
ロードバイクを壁掛け金具に掛けたとき、先端に下向きに力がかかります。金具が自重とロードバイクの重みでたわみますので、やや水平向きとやや垂直向きの二つの力に分解できます。
このやや水平方向の力が、壁美人を壁から引きはがそうとする力です。
元の力を平行四辺形の二辺に分解しますので、元の力より大きい力は発生しません。仮に、ちょうど45度の向きに分解したとして約70%(=1÷√2)の力になります。
引き抜き力は場所による
ホッチキスの針は一定の面積に分散して刺すため、引き抜き方向の力は支点からの距離で変わります。教科書にのっていたテコの原理です。
もし、壁側金具の中央にロードバイクから発生する引張りがかかると、壁側金具の最下部が壁との支点となり、最上部が大きい力で引っ張られます。金具の中央と最下部、金具の最上部と最下部の長さの比はざっくりと1:2と見なすと、最上部には2倍の力が掛かります。
計算の結果は
もしロードバイクの重量が15kgで、壁側金具はその70%である10.5kgで引っ張られるとします。
その時、ホッチキスの針を打った最上列に掛かる力は、10.5kgの二倍で21kgです。
最初の数字を持ってくると、一列あたり8箇所の穴があり2本のホッチキスの針を打ちますので、引っ張りに対抗する力は8×2=16kgです。壁用金具は三枚使いますので48kgです。この一列目だけを取り上げたとしても安全率は48÷21で約2倍強ありますし、実際には他の列でもホッチキスの針が力を受けています。
ロードバイクを掛けても問題ないといえるのではないでしょうか。
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