壁美人で吊ったテレビが落ちた!対処法と失敗しないコツは?

壁美人で吊ったテレビが落ちた!対処法と失敗しないコツは?

回答:

壁美人を正しく施工しても落ちるときは、ホッチキスの針の向きを互い違いにして強度をあげたり、テレビ本体をなるべく壁から離さない。

解説

壁美人が落下!


賃貸でも、狭いワンルームや1Kでも、一人暮らしの作業で壁付け収納を作れる!

ホッチキスで固定するので、壁に付けた傷がわからず原状回復も問題ない!

という触れ込みのDIY部品「壁美人」が人気です。

壁にほとんど傷をつけず、色々なものを壁吊りにできるという便利なグッズです。

しかし、ホッチキスの針の力で大丈夫かなと半信半疑でテレビを壁吊りにしたら、実際に落ちたという失敗があります。

メーカー調べでは、ホッチキスの針を石膏ボードに刺すと、

下向きには約3.7キロの保持力、引き抜き方向に約1キロの保持力があります。

ホッチキスの針をたくさん刺すことで重さに耐えます。

落ちる時は、

メーカーが想定したような針の引き抜き強度が出ていなかったり、

想定する静止荷重限界を超えている使い方の問題になります。

まずはこの辺の原理から説明します。

掛けるものの重心を考える

形と質量がある物体には重心という重量の中心があります。

重心にすべての重さが集まっていると考えても、イメージをつかむには差し支えありません。

もし、高さ÷奥行の倍率が1倍、5倍、10倍で同じく6kgの重さのボックスがあるとします。

下の絵で青い色は壁美人の壁付けフックを示していますが、黒い下向き矢印の重心は、どんどんと下に行きます。

ではこのとき、針にはどのような引き抜きの力がかかるか、力を分解したのが下の絵です。

単純に言うと、重心が上だと引き抜きの力が大きく、下だと小さくなります。

一番左の絵で、壁と垂直の右向き矢印が見えるくらい大きいのに、一番右の図では見えないくらい抜く力が小さくなります。

このように重心を低く保たないと抜けやすくなります。

でも、重いものを上の方に載せると重心は上の方に移動します。

すると、引き抜き方向の力が増えてしまいます。

うまく使うには、重いものは下の方に、軽いものは上の方に載せるようにすればよいということです。

テレビの場合

壁美人の基本はこのようになっていますが、テレビの場合はそもそも高さを変えるということはないかもしれません。

例えば、以下の写真の、耐荷重が15キロの壁掛け部品「TVセッター壁美人のTI100 Sサイズ」は、

一度場所を決めて固定したら、テレビを変えない限りは重心の位置は一定です。

このシリーズでは、ホッチキスの針を刺す穴が一列当たり32箇所空いています。

これが上段に一列、中段に二列、下段に一列備わっています。

ホッチキスの穴は一つあたり二本の針を刺します。

32箇所の穴にすべて刺すと針は64本になります。4列ありますので、256本の針が刺さります。

では、初めに針一本に引き抜き方向に約1キロの保持力があると書いてあったので256キロなのか、といえば、

さすがにそこまではないんじゃないの?

と感じることでしょう。

(以下では直感的にわかるよう、構造理解を単純化しているため数値は精密ではありません)

テレビの重さを力で分解する

テレビを壁掛け金具(青色のフック)に掛けたとき、金具の先端に下向きの重力(黒の下向き矢印)がかかります。

金具が自重とテレビの重みでたわみますので、やや水平向きとやや垂直向きの二つの力に分解できます。

この赤色の矢印のように、やや水平方向の壁美人を壁から引きはがそうとする力が発生します。

(実際には、青色のフックと黒の下向き矢印(=テレビの重心)は離れているので、計算はもう少し複雑です)

元の力を平行四辺形の二辺に分解しますので、元の力より大きい力は発生しません。

このシリーズは上向き下向きに角度調整ができるので、仮で下向きの時に、ちょうど45度の向きに分解したとして約70%(=1÷√2)の力と想定します。

引き抜き力は場所に依存

ホッチキスの針は一定の面積に分散して刺しているのですが、引き抜き方向の力は支点からの距離で変わります。

支点からの距離で変わるという法則は、理科の教科書にのっていた「テコの原理」です。

もし、壁側金具の中央にテレビから発生する引張りがかかると、壁側金具の最下部が壁との支点となり、最上部が大きい力で引っ張られます

金具の中央と最下部、金具の最上部と最下部の長さの比はざっくりと1:2と見なすと、最上部には2倍の力が掛かります。

特に上部を確実に固定しないといけない

もしテレビの重量が15kgで、壁側金具はその70%である10.5kgで引っ張られるとします。

その時、ホッチキスの針を打った最上列に掛かる力は、10.5kgの二倍で21kgです。

最初の数字を持ってくると、一列あたり32箇所の穴があり2本のホッチキスの針を打ちますので、引っ張りの対抗する力は32×2=64kgです。

この一列目だけを取り上げたとしても安全率は64÷21で約3倍ありますし、実際には他の列でもホッチキスの針が力を受けています。

ですので、テレビが落ちたからといって、壁美人の口コミはウソだったのではないかと疑うのは違うのです。

やってほしいことは、安全率通りに針の保持力を出すために、きっちりとホッチキス針を角度をつけて打ち込むことです。

ホッチキス針を、しっかりと角度をつけて打ち込むと、壁から引きはがそうとする力が、上の絵のように二つの赤い矢印に分散します。

元の力の矢印の大きさよりも、ホッチキス針をまっすぐ引き抜く力の矢印は、小さくなっています。

斜めに打ち込めば、確実にテレビを吊ることができます。

テクニックの一つとして、ホッチキスの針を打つときに隣り合う針同士は違う向きに打つ方法があります。

こうすると、片方の針をまっすぐ引き抜こうとする向きに力がかかると、もう片方の針では摩擦を増やし抵抗を高める力に変わります。

その両方が合わさって、抜けにくくなります。

その代わり壁美人を外す時には、ホッチキスの針を別の向きにそれぞれ個別に抜かないと、石膏ボードが欠けるなど痛めてしまう恐れがあります。

もう一つの注意点として、

テレビが壁から離れる壁掛け金具は非常に不利です。

壁から離れると、重心は下にはいかず、前方にいきます。

前に行く力が大きいのは、ホッチキス針を抜く方向なので、覚悟してホッチキスの針をまんべんなく打たないといけません。

引き抜き力は単純に合計してよい?

ホッチキス針の数の分だけ単純に保持力が増えるのか、という点も説明しておきます。

次の写真のように、8箇所のホッチキスの針を刺したから8キロの強度がありますか、という話です。

もしホッチキスの針に大きさという概念がなく、正確に一箇所に8本を刺すなら単純な合計になります。

しかし実際には、一定の面積に分散して刺すため、引き抜き方向の力で浮こうとするフィルムは、初めに接触した一個のホッチキスの針に力が集中します。


(壁美人のイメージビデオより)

上の例でいえば、まずホッチキスの針の一番上の列の4本に力が集中しやすくなります。

そしてもし、4本のホッチキスの針のうち3本が浮いていたら、残りの1本に力が集中します。

しっかりと針を刺してあれば、目に見えて浮いていることは少ないのですが、大事なのは

力が弱いホッチキス針(=例えば少し浮いている、角度がついていない)があると、残りの針に力が集中する

ということです。

刺した針の一部しか力を支えていかなったら、それは弱くなりますね。

壁掛け金具を変える

自分ではしっかりとホッチキスの針を刺したはずなのに、テレビが落ちてしまった、

そんな経験を一度すると、また正しい方法と思って設置しても大丈夫か、不安になります。

その時は壁掛け金具のサイズをアップするのも一つの対処法です。

前の項で、特に上部を確実に固定しないと、必ずてこの原理で大きくなる力に耐えられない、と述べました。

実は、Mサイズ、Lサイズの壁掛け金具では、上部の針用の窓の数は、下部の窓の数より多くなるように設計されています

下の商品写真がその一例です。よって、普通に設置しても上部の固定力を確保できるように、設計で対応しているのです。

他の方法もある

壁美人は正直どうなのかな、使えるのかしら、と不安がぬぐい去れない気持ちでは、安心して壁美人を使うのは難しいです。

壁美人しか方法がないわけではありません。もっと安心してテレビを壁掛けできる方法もあります。

その一つは、賃貸であっても天井にも壁にも傷をつけない、ラブリコを使って壁掛け用の強力な柱を立てる方法です。

ラブリコは、2×4材と呼ばれる木材を床と天井の間に固定するDIY道具です。

柱が一本でも20kgもの重さのものを吊り下げることができます。柱を増やせばテレビの壁掛けもできます。

壁美人も十分な耐荷重はあるのですが、見た目の安心感でいったら木材の方が良いでしょう。

まとめ

使い方を守り、ていねいに施工すれば、通常の状態でテレビが落ちる危険はまずありません。

そのくらいに、安全率の高い製品になっていますので、もし一度は失敗しても、二度目はうまく設置したいですね。

テキストのコピーはできません。