賃貸でも、狭いワンルームや1Kでも、一人暮らしの作業で壁付け収納を作れる!
ホッチキスで固定するので、壁に付けた傷がわからず原状回復も問題ない、
という触れ込みのDIY部品「壁美人」が口コミで人気です。
壁美人はホッチキスの針で重さを支えるところがポイントで、本当に強度は大丈夫かなと不安に思う方もいることでしょう。
本記事では耐荷重の仕組みを解説します。
ホッチキスの針の耐荷重
メーカー調べでは、ホッチキスの針を石膏ボードに刺すと、下向きには約3.7キロの保持力、引き抜き方向に約1キロの保持力があります。
ならば、6kgタイプの金具はホッチキスを8箇所刺すので、3.7×8本⇒30kgぐらい持つのではと思うかもしれませんが、そこにはいくつか注意点があります。
壁掛けボックスの縦横倍率
壁美人を使うとき、事前に確認すべき点として、取り付けるボックスの高さ÷ボックスの奥行が何倍か、という数値があります。
直感的に、同じ重さの棚でも高さが大きければ安定しそうな気がしますが、これはモノの重心が移動するせいです。
形と質量がある物体には重心という重量の中心があります。重心にすべての重さが掛かっていると考えても、概略を知るためにはは差し支えありません。
もし、高さ÷奥行の倍率が1倍、5倍、10倍で同じ重さのボックスがあるとします。
それぞれ重心がボックスの中心にあると仮定すると、上の絵の赤い矢印の位置になります。
壁美人の耐荷重
次に、この重心の力がホッチキスを抜く力に変わるところ、つまり耐荷重の話をします。
まず、壁掛けボックスは壁美人のフックにぶら下がっていますが、同時にボックスの一番下が壁に当たっています。
この一番下の点が支点になり、支点が中心になって回転しようとする力が働きます。実際は、回転するというよりは前に倒れる力になります。
この力が、ホッチキスの針を抜こうとする引き抜き方向の力になり、重心の大きさのうち回転方向を向いている力が引き抜きの力です。図で灰色の矢印で示しています。
実際には、支点から重心までの距離より支点からフックまで距離が大きいので、てこの原理で反対に引き抜き力は減ります。図で青い矢印で示しています。
ですが、それぞれの図を見るとわかるように、重心が下にあるほど引き抜き力は小さくなります。それは、重心の力を分解したときに回転方向を向く力成分が小さくなるからです。
ホッチキスの針の引き抜き方向の耐荷重を超えないように調整する必要があります。
そこで、高さ・奥行の倍率に合わせて、掛けるものの重さを増減して対応しているのです。
引き抜き力は単純に合計できない?
ホッチキスの針は一本当たり約1キロの保持力があるので、8箇所に刺せば8キロになりますか?
もしホッチキスの針に大きさという概念がなく、正確に一箇所に8本を刺すなら単純な合計になります。
しかし実際には、一定の面積に分散して刺すため、引き抜き方向の力で浮こうとするフィルムは、近接した一部のホッチキスの針に当たり力が集中します。
(壁美人のイメージビデオより)
上の例でいれば、ホッチキスの針の一番上の列に力が集中しやすくなります。
引き抜き力が均等ではないので、一番上の列にはホッチキスの針の一本当たりに大きい力がかかります。
一本一本、確実に奥まで押し込むようにすれば均等に力がかかります。
30度に傾ける作業にも、壁とホッチキスの針との摩擦を増やし、抜けにくくする効果があります。
取り付け上の注意
ボックスの重心をボックスの中心だと仮定しましたが、形によっては重心が中心から偏ってきます。
L字型の棚であるウォールシェルフのように、重心が上の方にあれば引き抜き方向の力も大きくなります。
ボックスに収納するものの偏りにも影響されます。上の方に重いものを収納すると、重心が上になり、ホッチキスの針を引き抜く力が増えます。
常に重いものを下の方に入れるようにしましょう。
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