木工用ボンドが乾くと透明になる理由、接着の仕組みは?

木工用ボンドが乾くと透明になる理由、接着の仕組みは?

木工用ボンドが乾くと透明になる理由は、乾燥前の状態では接着成分の微粒子外周で光が反射され白く見えるのが、接着成分が寄り集まって一体化した後は外周が減り、光が反射されず透過するためです。

解説

木工の作業で、木材同士を接着する場面では木工用ボンドにお世話になります。

学校の工作の授業でみんな一度は使ったことがありますし、木工製品の一部がはがれたりしたときの補修などでは、いつも活躍します。

木工ボンドは、速乾タイプにしたハイクラス品まで100均でも手に入るほどおなじみです。ですがその中身についてはよく知りません。

速乾タイプなら、60~120分で乾くと透明になりますが、どのような原理なのでしょうか。

木工用ボンドが白く見える仕組みは?

基本的な木工用ボンドの主成分は、一般的には酢酸ビニル系の樹脂です。

この樹脂は石油から合成しますが、基本的には油性のため水には溶けません。でも、木工用接着剤は水系です。

そこで、樹脂の表面全体を水に溶けるような物質(乳化剤)を結合させます。この処理は専門用語では「乳化」と呼びます。

乳化剤のおかげで、酢酸ビニル系の樹脂は水中で安定に存在することができ、容器の底に沈む、あるいは水の表面に浮くことはなくなります。

水の中で安定に存在するときは、樹脂と水との異なる物質の境界ができ、この境界で光が様々な方向に反射されるので、水のように透明ではなく光の色で白く見えます。

木工用ボンドが透明になる仕組みは?

接着樹脂を溶かしていた水が大気中に蒸発したり、接着する基材に吸収されたりして、ボンドの中から水分が飛ぶと接着樹脂同士が近づき接触して固まります。

長期間使わなかった木工用ボンドが、詰まったり、粘度が上がったりして使えないのは、水分が飛んだせいです。

固まる時に樹脂成分同士が接触すると、樹脂と水の境界が消えて外からの光が反射されにくくなります。これが乾いたら透明になる理由です。

酢酸ビニル樹脂は元々透明なので、元に戻るということです。

透明にならないときは?

透明にならないとしたら水分が飛んでいません。この状態では接着力が発揮できませんので、塗る量を減らしたり、素材を見直したりしましょう。

また、一旦ボンドが固まっても乳化剤は残っていますので、接着部を水に触れさせるとまた白くなります

とはいえ、一度互いに接触した樹脂のすき間に水が浸入するのは時間がかかるので、水に触れたらすぐゆるくなってしまうことはありません。

しかし、長期的には水の影響で樹脂同士の距離が離れ、接着力が低下してしまいます。

湿気の多いところや、水がかかるところでは使わないようにしましょう。