カラーボックスに使われる板は、断面方向から加わる力には強く、カラーボックスの開口部を下に向けて並べれば小上がりの強度に不安はありません。
解説
洋間だけの部屋に住んでいても、あったら便利なのが小上がりです。
小上がりで、畳をまず想像する方も多いと思います。畳の上に寝転がったり、正座したり、こたつを置いたり、いろいろ使い方が考えられます。
また、子供が増えてダイニングで一緒に食事をするスペースが少なくなったとき。
小上がりでちゃぶ台を囲む方式に変えれば、人数の問題は解決します。幼いお子様にとっても、テーブルの高さが低くなり、使いやすくなります。
ところが、洋間だけの賃貸に暮らしていたり、持ち家でも板間だけにしている方にとっては、小上がりが欲しくても部屋の改造は簡単ではありません。
ところが、市販のカラーボックスを流用して作る方法で、簡単にできます。
簡単な方法は?
おなじみのカラーボックスを準備します。
開口部を下に向けて寝かせたカラーボックスをいくつか並べて配置し、その上に下地としてベニヤ合板を敷きます。すのこでも構いません。
そこに、い草カーペットや畳を敷けば、もう小上がりの完成です。
思ったより簡単ですね。
強度は大丈夫?
なぜこんなレベルの自作でよいのか。それは、カラーボックスの板が意外と強度があるためです。
カラーボックスは、買ってきて自宅で組み立てるものが多くなってきています。ですので、持ち帰ることが可能な軽い木板が使われていますが、素材は、繊維板(MDFやパーティクルボード)がほとんどです。
繊維板は、一枚板や集成材、合板と比べれば曲がりやすい素材です。横からものをぶつけて、表面がへこんだ経験のある方もいるかもしれません。
しかし、板に対し縦方向に掛かる力については、まったく問題がありません。
どのくらいの強度?
縦の板にある荷重をかけたときに板が曲がるときの限界荷重は、板の強度係数を使って計算で求めることができます。
小上がりではほとんどあり得ないと思いますが、カラーボックスを普通に立てて使い、その時の板の高さを900mm、板厚を12mmとした時、限界荷重は
板の幅:450mm→1,930kg
板の幅:300mm→1,290kg
板の幅:150mm→640kg
と、人の体重じゃどうにもならない強度なのです。
小上がりでは、カラーボックスを横向きにして使います。
ならば高さが450mmとなり、更に曲がりに強くなります。畳を載せて、大人が数人載っても強度は問題ありません。
注意点は?
カラーボックスとベニヤ合板の間、ベニヤと畳の間は比較的つるつるしているので、置いただけでは互いに固定されません。
すると、小上がりに乗ったり下りたりするときの動きで、板が滑ってしまいます。
接する面をすべてビスで固定すると一番確実ですが、そこまでしたくないときは、滑り止めのジェルなどを挟みましょう。
また、カラーボックスの背板を抜いた箱は、地震がくると水平にゆれて平行四辺形に変形する恐れがあります。
そのとき、組み合わせているところが木のダボで単にはめてあるだけか、木ねじでしっかりと締結するかの違いはあれど、力が集中してしまいます。
望ましくは、カラーボックスの木枠には隅金を追加して、変形が起きにくいように補強しておきましょう。更にベニヤ合板も隅金に固定しておけば安心です。