ソーラーパネルの複数接続は直列、並列どっちが正しい?

ソーラーパネルの複数接続は直列、並列どっちが正しい?

直列と並列は、接続するバッテリーのインプット電圧範囲に合わせて変えます。電圧範囲の上限が、ソーラーパネルの開放電圧を足し合わせた値よりも余裕があれば直列で繋ぎます。開放電圧の総和よりも上限電圧が小さい場合や、カーバッテリーを使う場合は並列で繋ぎます。

(並列接続は専用コネクターで簡単にできます)

アウトドア用ソーラーパネルで独立電源を自作するとき、ソーラーパネルを二枚以上、直列につなぐのが良いのか、並列につなぐが良いのか、わからなくなることはありませんか。

子どものころに電池のつなぎ方をを学びましたね。基本は変わりません。

しかし、発電するパネルをつなぐときは、さらに注意する点があります。直列と並列に分けて説明します。

直列つなぎのメリットとデメリット

メリットとして、直列接続では電圧を上げられます。発電した電気で、電圧が高い機器を動作させることができます。

一つ、例をあげます。ノートパソコンをお使いの方は多いと思いますが、必要な電圧はだいたい18~19Vです。

ソーラーパネルの発電電圧は17V前後ですので、ソーラーパネル 1枚ではノートパソコンを動作させることはできません。

ところが、2枚を直列につなぐと、34V前後の電圧を発生できるようになります。必要な電圧より十分に大きいため、動作させられるようになります。

メリット1・変換効率

ソーラーパネルの電気をAC100Vに変換して、一般的な家電を動かすときにも、発電した電気の利用効率が高くなります。

ソーラーパネルの発電電圧は直流ですので、DCACインバータを使って、昇圧して交流に変換します。

この昇圧の時、必要な電圧100Vに対して、元の直流電圧が高い(電圧が近い)方が、変換のときのロスが小さくなります。

つまり、ソーラーパネル一枚だけの、DC17Vの電気からAC100Vの電気を作るよりも、ソーラーパネルを直列につないでDC34Vから作るほうが、多くの電力が得られます。

デメリット1・日陰に適さない

避けられないデメリットとして、一部のパネルが日陰になったときに、発電量が大きく下がります。

直列つなぎの時は、流れる電流はどこでも同じです。もし、日陰ができて一部のパネルの発電電流が減ったとすると、日なたのパネルを流れる電流も一緒に減ります。

その結果、取り出せる電流が大きく下がってしまいます。

なお、市販のソーラーパネルには、直列接続で一部のパネルの発電量が下がったときに備えて、電流がそのパネルをう回する回路(バイパスダイオード)がついています

ただし、大規模な太陽光発電所のように、何十枚・何百枚も直列接続をするならば、一枚をう回しても電圧の違いは大したことはありません。

しかし、二枚のソーラーパネルを接続したときは、電流がう回した場合は電圧が半分に下がってしまいます。最悪、機器が動かなくなってしまうでしょう。

並列つなぎのメリットとデメリット

メリットとして、並列接続では電流を多くかせぐことができます。

発電した電気で蓄電池を充電するときに、短い時間で充電することができます。

メリット2・カーバッテリーに最適

一例で自動車に搭載されているカーバッテリーの充電を考えてみましょう。自前のソーラーパネル発電で蓄電池として使っている方もいると思います。

カーバッテリー(鉛蓄電池)の電圧は、満タンで約12.6Vです。充電するには、この電圧より大きければよいです。

アウトドア用ソーラーパネルの発電電圧は17V前後ですので、あいだにチャージコントローラーをはさんで電圧が少し減っても、充電には問題ありません。

ソーラーパネルを直列につないで電圧を増やす必要はなく、ソーラーパネルが2枚あれば、並列につないで電流を多くかせぎ、短時間で鉛蓄電池を満タンにするほうが無駄がありません

また、一部のパネルが日陰になったときは、日陰になったパネルからの電流が減りますが、日なたのままのパネルは影響されずに発電を続けられます。

カーバッテリーを使うソーラーパネル発電システムでは、並列接続のメリットが大きくなります。

デメリット2・逆流防止対策が必要

デメリットとして、鉛蓄電池や他のソーラーパネルから電流が逆流してくることに備え、逆流防止の回路が必要であることがあげられます。

ソーラーパネルが発電できない夜間は、電気がたまった鉛蓄電池から、ソーラーパネルへ電流が逆向きに流れます。

昼間であっても一部のソーラーパネルが日陰になると、発電電流が減少して抵抗が上がり、電圧が高くなります。

その結果、日なたのソーラーパネルのほうが相対的に電圧が低くなるため、日陰のソーラーパネルが発電した電流は日なたのソーラーパネルにも流れ込みます

逆電流による故障リスクを避けるため、逆流防止の処置が必要です。

逆流防止が付いているパネルもある

ソーラーパネル自体やチャージコントローラーが、逆流防止の回路を組み込んでいる場合もあります。

また、パネルと電池の間にはさむチャージコントローラーすら不要なポータブル電源の場合は、普通は逆流防止の回路が組み込まれています。

ですので、ソーラーパネルが発電できない夜間でも、バッテリーからソーラーパネルに逆流することはありません。

しかし、カーバッテリー(鉛蓄電池)を使う場合で、ソーラーパネルが逆流防止の回路を持っていると書いてあるときは要注意です。

ソーラーパネルに取り付ける外部回路は、普通は直流のところで述べたバイパスダイオードが多いのですが、販売業者が勘違いして、逆流防止回路がついていると商品説明に書く例がしばしばみられます。

見分けるためには、ソーラーパネルの配線カバーをあけてみてください。

プラス(+)とマイナス(-)の線の間にダイオードがついている場合は、逆流防止回路ではありません。上の写真はプラスとマイナスの間をつないであり、逆流防止ではなくバイパスダイオードです。

一方、プラス(+)の線に直列にダイオードがついている場合は、逆流防止のダイオードです。

もし逆流防止ダイオードがついていない場合、ご自分で配線に差し込んでください。

手に入りやすくて接続説明書が詳しいダイオードは、車のDIY用品を製造するエーモン工業のものです。パネルサイズが100W以下なら電流MAX 6Aの部品を、15W以下なら最大電流が1Aのダイオードが使えます。