木材としてツーバイフォー材を使う場合、コミック本の合計が20kgなら板の厚みは24mm以上で、棚板を両側で支える柱の距離は900mm以下、さらに重いハードカバー本の合計が30kgなら厚みは同じく24mm以上で、両側の柱の距離は600m以下にすると、本棚に必要な棚板強度が得られます。

解説

耐荷重の大きい本棚を自作したい

簡単に柱が立てられるディアウォールやラブリコを使いたい、その目的が本棚のDIYだという方は少なくないと思います。

たとえば、漫画類は全巻揃えて、大容量の本棚にずらっと並べられれば壮観ですね。

ですが、本は意外と重みがありますので、棚板には重みに耐えられる強度を確保しないといけません。

本棚の棚板は、どの木材で、どのくらいの厚みを選んだらよいのでしょう。

木材のたわみは計算できる

棚板に限らず、ある材料に力をかけたときにどのくらいたわみむのか、このたわみ量は実測しなくても推定できます。

木材の強度的な特性値と、本棚の構造(支点と荷重の位置)が決まれば、強度計算から求まります。

本棚を自作するときの重量の推定と、木材の例としてSPF材・杉材をあげ、本棚の棚板として強度が得られる必要な厚みを計算し、一覧にしました。

コミック単行本の本棚

漫画の単行本は、一冊当たりが150~200gと想定されます。厚みを約14mmと仮定しましょう。

2×4材の6フィート長さ(1820mm)に載せると約130冊になります。果たしてこの荷重に耐えられるのでしょうか。

棚板に載せる荷重を、最大で130冊×160g=20kgとし、棚板の中間にすべての荷重が掛かったと計算上は仮定して早見表にしました。

SPF材の厚さとたわみ

SPF横幅 600mm横幅 900mm横幅 1200mm横幅 1820mm
43冊 7kgに相当64冊 10kgに相当85冊 14kgに相当130冊 20kgに相当
SPF 1×4
(19 x 89mm)
0.5 mm2.8 mm9.5 mm47.9 mm
SPF 2×4
(38 x 89mm)
0 mm0.3 mm1.2 mm6.2 mm
SPF 2×8
(38 x 185mm)
0 mm0.1 mm0.6 mm3.2 mm

まずは、普通の2×4材の素材として使われるSPF材です。

表を見てどう考えたらよいのか、一例で2×4のところで説明します。

1820mmの長さの2×4材を使って両端を固定する場合、コミック約130冊に対しては6.2mmもたわんでしまいます。

板の長さを半分の900mmにするか、1820mmの長さでも中間の900mmのところにも柱を立てて棚受けを作れば、たわみは0.3mmに抑えられます。

このように、SPF材は価格の割に強度が高く、おすすめです。

たわみもどのくらいならOKなの?これは、2, 3mmもたわんでいればヒトの目で異常がわかり、本も倒れるでしょう。1mm台以下におさえるか、載せる本を少なくしてたわみを減らすとよいでしょう。

スギ合板の厚さとたわみ

スギ合板 奥行300mm
板厚
横幅 600mm横幅 900mm横幅 1200mm横幅 1820mm
43冊 7kgに相当64冊 10kgに相当85冊 14kgに相当130冊 20kgに相当
12mm2.2 mm10.8 mm35.8 mm179 mm
18mm0.6 mm3.3 mm11 mm55.6 mm
24mm0.3 mm1.4 mm4.8 mm24.5 mm

スギ合板(針葉樹合板)でも試算します。

また、ラワンベニヤ板はスギ合板よりやや強いと考えていただければよいと思います。

スギ合板では、幅600mm以内の棚板にしないと漫画シリーズを載せるのは難しいとわかります。

棚板の厚みは18mm以上がおすすめです

他の木材で棚板の耐荷重を知りたい方は、棚板選びで曲げ強度、たわみを参考にしたい!をご覧ください。

ハードカバー単行本の本棚

ハードカバーの書籍は、一冊当たりが450~500gと想定されます。厚みを約30mmと仮定しましょう。

2×4材の6フィート長さ(1820mm)に載せると約60冊になります。荷重は、60×500g=30kgにも達します。デジタル家電並みです。

引っ越しのときに本を段ボールに詰めたことがある人は、本の段ボールで重みは体験済ですね。

棚板に載せる本の合計荷重を30kgとし、棚板の中間にすべての荷重が掛かったと計算上は仮定し早見表にしました。

SPF横幅 600mm横幅 900mm横幅 1200mm横幅 1820mm
20冊 10kgに相当30冊 15kgに相当40冊 20kgに相当60冊 30kgに相当
1×40.8 mm4.2 mm13.5 mm71.6 mm
2×40.1 mm0.5 mm1.7 mm9.1 mm
2×80 mm0.2 mm0.8 mm4.6 mm

1820mmの長さの2×4材の両端を固定する場合、ハードカバー約60冊に対して歯が立ちませんが、600mmずつ柱を立てて棚受けを作ればたわみを減らして使えます。

前述のコミック本ではスギ合板の計算を載せましたが、その時点でコミックの重みで強度的に耐えるのは難しいため、もっと重みがあるハードカバーでは使えません。

SPF材以外では、SPFと同等の剛性があり、板の寸法の種類が多いパイン集成材を使うのが良いでしょう。

棚板一枚あたりに載る本が多いため、壁一面に本棚を蔵書を保管する場合、柱と床が設置する面の力を分散させたほうが良いです。ここは忘れがちです。

棚板一段あたりで20~30kgに達しますので、棚板の数を増やすと、普通の体格の大人が片足でつま先立ちの状態になるような圧力が本の荷重で常に床にかかるようになります。床が沈みかねません。

まとめ

本棚のDIYで難しい棚板選びについて、載せたい本の種類と想定される重さ、代表的な木材のたわみ量計算を説明しました。