レールがない窓につける自作網戸は、網戸枠を窓枠に突っ張れるような仕組みで作り、突っ張り固定部分を起点に跳ね上げ構造にします。
作り方、使い方を説明します
目次
はじめに
お住まいが賃貸で元から網戸が付いていなかった、
内倒し窓や出窓(外開き窓)だから網戸レールがない、
とお困りの方もいると思います。
でも、「網戸がないから窓も極力開けない」のでは、エアコンの電気代がかさみます。
実は、我が家も初めはそうでした。蚊が部屋に入る方が嫌ですし、エアコンを使うのも仕方がないとあきらめていました。
ところが、網戸は自分好みに自作することもできるんです。
木枠を作れば、網戸自体の製作と後付けは簡単です。
網戸の手作り方法を、一から説明していきます。
自作網戸の仕組みは?
手作り網戸は、フレームに跳ね上げ式の開閉機能が付いて窓の開閉がしやすくなり、網戸が取れないよう突っ張り固定の機能もつけます。
網戸サッシも、網戸レールもない場合、フレームと開閉機構をゼロから作る必要があります。
一般の横引き窓についている網戸だと、左右に動かせる引き戸になっています。
でも、すべり出し窓のようにレールがついてないと、引き戸方式の網戸を自作するには工夫がいります。
現実問題として、賃貸の部屋でレールを追加するのは大変です。
原状回復の制約があるので、窓枠にビスで固定するわけにもいきません。
この自作では、網戸レールがない窓の、室内側・室外側のどちらかに網戸を後付けします。
特に室内側につける場合、窓を開閉するため網戸がよけてあげる必要があり、フレームに跳ね上げ式の開閉機能をつけます。
次に、網戸が動いて窓枠から落ちないよう、突っ張り固定の機能をつけます。
外開き窓用網戸の作り方は?
初めに木の角材で網戸枠を作ります。そこに跳ね上げ開閉の機能をつけた後、突っ張り固定の機能をつけます。最後に網戸枠に網戸ネットを貼ればできあがりです。
手作り網戸に必要な部品は?
まず、開閉部の完成形をごらんください。
先ほどのイメージ図の通り、網戸の木枠に蝶番をつけているので、蝶番を起点に跳ね上げることができます。
- 木材(SPF材)19mm×19mm
- 木材(SPF材)19mm×38mm
いずれも長さ、本数は窓のサイズに依存します。 - 網戸ネット
- アジャスターボルト、ベース
- 丁番
- 木枠を作る固定材料 例:隅金、木ねじ
- すきまテープ(クッションがついたもの)
アジャスターボルトとは?
アジャスターボルトとは、テーブルや作業台の高さを上下に調整する、ネジ部品です。
この高さ調整の機能を、網戸の木枠を窓に固定する機構に使います。
先端部が金物の一般的なものや、樹脂、ゴム素材のものが選べます。
しかし、窓のサッシが金属アルミの場合、金属の先端部と接触するとサッシに傷をつけてしまいます。
滑り止め機能があるゴムを選ぶのが無難でしょう。
アジャスターベースとは?
アジャスターベースは、アジャスターボルトを使うための台座です。雄ネジのボルト側がしっかりと突っ張るためには、雌ネジが必要です。
アジャスターを直に網戸の木枠に埋め込むと、木材側の雌ネジ穴の耐久性が低く、そのうち緩みます。そのため、ベースを取り付けます。
二つ目のSPF材の断面、19×38mmのエリアに取り付け可能なサイズの中で、ネジ山数が多いものを選ぶのがコツです。
アジャスターの調整範囲が広くなり、DIY木材の寸法バラツキを吸収できますので、失敗しにくくなります。
作り方手順
(1)木枠の製作:窓寸法に合わせて、SPF材の19ミリ×19ミリ品で縦・横用の角材を切り、長方形の網戸枠を隅金と木ネジで固定します。
網戸枠の四隅の加工写真を載せますので参考にしてみてください。
木材同士をすべて、木工用接着剤で貼り合わせても構いませんが、ネジ固定の方が強度があり安心できます。
木枠のうち、窓の金属サッシや床面に向かい合ったところには、ネジや固定部品を置かず、ネジを貫通もさせません。
サッシや床面とこすれて、傷付きや塗装剥がれの恐れがあるためです。
SPF材の19mm幅のものは、油断をすると木ネジで割れて台無しになります。FAQをご覧の上、注意して作業をお願いします。
(2)網戸ネットの貼り付け:網戸枠に、網戸ネットを直接貼り付けます。
ネジ頭や固定部品がない面に貼り、設置したとき木枠の窓側に網戸ネットが来るようにします。
後ではがれにくいよう、網戸ネットの上から木材に向けて接着剤を塗布し、木材側に染み出すようにすると固定強度が得られます。
ただし、接着剤の粘度が低いとこの方法はうまくいきません。接着剤の液だまりの上にネットが浮いてしまいます。
反対に、両面テープで貼り合わせるような、網戸ネットの片側にしか密着力が効かないとはがれやすいため、注意が必要です。
さらに、タッカーで固定していきます。うちわの骨組みに紙を貼るようなイメージです。
(3)突っ張り固定の機能を製作:窓枠に固定する固定用木材として、SPF材の19ミリ×38ミリ木材を必要な長さに切り、アジャスターボルトを取り付けます。
固定用部材の左右につけたアジャスターボルトを、どちらもボルトを突っ張る方向に回して、固定用部材全体を窓の額縁に押し付ける手法です。
アジャスターボルトをネジで取り付けるためのエリアを確保するため、他の幅19ミリ木材とは異なり、幅38ミリのSPF材にしています。
(4)固定用木材と網戸枠を接続し、跳ね上げ開閉構造を製作:固定用木材と網戸枠を蝶番で連結します。これで開閉できるようになります。
木枠固定構造の製作:最後に窓枠と接する下面にすきまテープを貼ります。
作った網戸が窓枠とぴったり寸法が合わなくても、すきまテープにより大きさの微調整が効きます。
色々な窓へ応用が利く構造ポイントを三つ説明します。
開閉型木製枠網戸の使い方は?
まずは網戸を窓の内側、窓枠に載せます。
窓の額縁に固定するため、固定用木材のアジャスターボルトを窓枠に突っ張らせます。
窓を開ける時や、窓のロックを外す時などは、網戸を室内側に大きく跳ね上げ、それぞれの作業を行います。
外開き窓には、屋内側に飛び出した取っ手がついている場合があります。これが網戸と干渉しやすいです。
その場合、網戸枠の下面に貼ったすきまテープ(例えばポリウレタン製のふかふか緩衝材が付いたもの)と額縁の摩擦で、網戸を適当な半開きの位置で止めて、取っ手と干渉しないように使いましょう。
窓を開けて網戸を定位置に戻すときは、すきまテープを押しつぶす形で網戸をぴったりと窓枠に密着させます。
窓枠に取り付けるときは、アジャスターボルトの固定高さ位置を微調整して、開閉のしやすさが好みの硬さや状態になるようにしましょう。
アジャスターボルト、アジャスターベースは安価ですが、100均では扱ってないので、代表商品を載せておきます。
まず、アジャスターボルトです。
次に、アジャスターボルトと組み合わせるアジャスターベースです。
SPF材の断面に取り付けやすい長方形型のアジャスターベースも存在しますが、ネジ接続部が平坦なので、ネジ山の数が少なく動作範囲が大きくありません。
ですが、SPF材の方に凹みを付けてボルト先端が沈みこめるようにすれば、アジャスターの動作範囲は稼げますので、でき上がりの見た目にこだわりたいならば長方形タイプの方が良いでしょう。
内倒し窓の網戸の作り方は?
この自作では網戸レールがない窓の室外側に網戸を取り付けます。
窓サッシの他に、建物のモルタルやコンクリで出来た枠があれば、そこに自作網戸を設置します。
網戸は窓の開閉の邪魔になりませんので、網戸自体に開閉構造は不要です。嵌め殺しになります。
木製枠網戸に必要なもの
網戸の材料は、繰り返しになりますが以下の通りです。
- 木材(SPF材)19mm×19mm
長さ、本数は窓のサイズに依存します。 - 網戸ネット
- アジャスターボルト、ベース
- 木枠を作る固定材料 例:隅金、木ねじ
- すきまテープ(クッションがついたもの)
木製枠網戸の作り方、設置
一部は前半の繰り返しになりますが、概略を再掲します。
木枠の製作:窓寸法に合わせて、SPF材の19ミリ×19ミリ品で縦・横用の角材を切り、長方形の網戸枠を、隅金と木ネジで固定します。
網戸ネットの貼り付け:網戸枠に、網戸ネットを直接貼り付けます。
ネジ頭や固定部品がない側に貼り、設置したとき木枠の窓側に網戸ネットが来るようにします。
網戸枠固定構造の製作:網戸の木枠に直接、アジャスターボルトを取り付けます。
ここからは前半とは違います。
窓の外側に網戸を一旦つけたら嵌め殺しでよいので、開閉機構は必要ありません。
窓枠に密着した状態を保つよう、突っ張るためのアジャスターボルトを、網戸の上面のみに取り付けます。
嵌め殺し木製枠網戸の使い方は?
窓の外側から、網戸を取り付けます。写真は参考のため、窓の内側になっています。
網戸の下面は、枠の床面にしっかり置きます。落下防止のため、木枠の方に摩擦を増やす隙間テープを貼ると良いです。
コンクリやタイルの多少の凹凸を吸収し、座りが安定します。
網戸ネットを窓のサッシに密着させ、虫が侵入する隙間を無くすよう配置した後、網戸の上面のアジャスターボルトを伸ばし、枠の天井面に突っ張ると出来上がりです。
外に枠がない、足場がない場合は?
内倒し窓のサッシ面が建物の壁面とフラットな位置関係で、窓の外には網戸を突っ張る枠がない場合、また窓の外に足場がなく窓の外側に人が立って網戸をつけられない場合がでてきます。
内倒し窓で完全に開かないのに、室内側から、窓サッシの外側に網戸をつけなくてはいけません。
次の絵で、窓の右側(室内側)にいる人が、左側(屋外側)から枠に網戸をつけることになります。
屋外側にコンクリ製の窓枠がある場合や、窓サッシが外壁とフラットに続いている場合など、様々です。
一番難しい、窓サッシの外に網戸を載せて保持できる枠がない例を想定します。
この場合、アルミの窓サッシに、マジックテープで直接網戸木枠を取り付けます。
外側に取り付ける点では、網戸が元からある内倒しサッシ窓の方法と変わりません。
次の絵で、灰色の窓サッシ部(左図)に網戸枠(茶色)を取り付けます(右図)。
アルミ窓サッシは、金属で表面が平滑なためマジックテープ裏面の粘着力が効きやすい利点があります。
反対に、網戸木枠側に取り付けるメステープは、木材面との粘着が弱くなりがちです。テープの上からタッカーを打って補強しましょう。
マジックテープ程度で大丈夫か?と不安に思う方もいると思います。
基本的に内倒し窓が付くような小さい開口部は風の流れが弱く、小さい開口部のため給気窓として室内へ風が流れるところです。
マジックテープを引きはがす方向、つまり室内から外への風の流れが掛かりにくいのです。
マジックテープ自体の接着強度は高く、貼り付け部が直射日光に曝されない内面のため強度劣化もしにくいです。
マジックテープをつけない枠部には、虫が入らないよう隙間をふさぐ隙間テープを貼ります。
網戸枠を取り付けるとき、室内側から外へ木枠を出し、落とさないように窓サッシに押し付けてマジックテープ同士の保持力を効かせます。
室内側から引っ張れるように、木枠には取っ手をつけるか、指でつかめるクギや木ねじを打っておきます。
高層階での注意点は?
それでも、作業中に万が一手を放して階下に落としたり、想定外の強風ではがれる恐れもゼロではありません。
落下しないよう落下防止のワイヤ等(窓枠に挟まってもよい麻紐(ジュート)が良い、ビニールひもは紫外線に弱いので不可)を結んで対応します。
大型台風がくるなどの暴風予報が出た場合は、あらかじめ外しておくことも予防として効果的です。
まとめ
網戸の自作、やってみよう、できそう、と前向きな気持ちになりましたか。
業者にやらせるより断然安く、DIYは経験値もたまりますので、損をすることはないです。
自作できると、着脱することに違和感がなくなり、使わない冬場に木枠ごと取り外すこともできます。取り外すと網戸の掃除も簡単です。
また、窓に網戸がついていると採光が少し減りますので、取り外せるならば窓の印象が明るくなるメリットもあります。