細いネジが中で折れた時の対処法

細いネジが中で折れた時の対処法

中で折れた細い木ネジは、市販の「折れたビス抜き」等の専用工具で、埋まった木ネジを回転させて外します。なぜなら、一般的な工具で対応できる取り方がないためです。また、他に木ネジを打てる場所があれば、折れた木ネジはあきらめて作業を進める方が早いでしょう。

(折れたネジの始末が「折れたビス抜き」で解決しました)

最も早く簡単な対処法

もし他に木ネジを打てそうな場所がある時は、折れた木ネジはあきらめるのが最も早く簡単な対処法です。

木ネジが木材の中で折れてしまうと、一般的な手持ちの工具のみではつかむこともできないので、ネジ穴を壊さずに取る方法はありません。

ですが、専用の工具を手に入れてまで折れた木ネジを外すべきかどうか、よく考えます。

そのまま放置して作業を進める方が早く、お金もかかりません。その時でも、折れた木ネジは木工用パテで埋めて、木材の表面にネジ穴を残さないようにします。

特に細いネジならば、いろいろな取り方を試すよりも埋めたほうが確実です。

ネジを抜く時の対処法

木ネジを抜きたい場合、ネジを回すための方法を選びます。

なお、ネジ穴を壊しても構わない場合は、手持ちの工具でネジを回す方法もあります(※注1)。

ですが、ネジ穴を壊さず引き続き使うためには、木を傷めず穴も壊さない専用の工具を使います。

木ネジが折れた時に役立つ優秀な専用の工具は三種類あります。抜く必要性とコスパを考えて選ぶと良いでしょう。

工具の名称、通称、商品名価格帯手作業が可能か他の工具が必要か電動工具が必要か
折れたビス抜き~3,999円×電動ドライバー等必要、電動工具用の特殊切削工具のため
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なめたネジはずしビット~999円×電動ドライバー等必要、電動工具用の特殊切削工具のため
なめたネジはずしビットの解説へ飛ぶ→
エキストラクター~499円タップハンドル、タップホルダ等必要、下穴を開けるときは、金属穴あけ用工具が要る
エキストラクターの解説へ飛ぶ→

折れたビス抜き

スターエムから出ている、折れたビス抜きという専用工具で折れたネジをつかんで外せます。

こちらは電動ドライバーが必要です。

これは、折れたネジに加工することはなく、折れたネジの周りの木を掘りこんでいきます。

ビス打ちの途中で折れ込んだビスを抜き去ることができます
ビスを抜き去った穴は大きくなりますが、再度同じところにビス打ちが可能です
専用ピンは数回使用が可能です

https://www.starminfo.com/jp/product/hojyogu/5040.htmlスターエム製品ページ


引用元: 木工ドリルのスターエム

専用ピンを折れたネジの深さまで打ち込んで沈め、しっかりチャックして抜き去る原理です。

木材のネジ穴が、専用ピンの外径まで拡がりバカ穴になりますが、それでも皿ネジ頭の外径の方がバカ穴より大きく、再度ビス打ちをすればしっかりと締めこめます。

この後で折れたネジに更に穴を開けて抜く方法を説明しますが、折れたネジの中心を垂直に狙う面倒さと失敗する可能性があります。

特に3-4mmの細いネジの時、折れたネジの断面の中心めがけて細い下穴を開けるには熟練が必要です。ところが、この工具は、この細いネジでも技能を必要とせず使えます。

折れたビス抜きはビスの外周をガイドにしてピンを差し込むのでズレることはなく、成功する確度が高いメリットがあります。

せっかく、抜こう!元のビス位置を生かそう!と思ったからには、私なら成功しやすい折れたビス抜きを使いますね。

なめたネジはずし

ANEXから出ている、M2.5からM8程度の細いネジに対応する、なめたネジはずしビットという工具で折れたネジが抜けます。

なめたネジはずしビットは、通常のネジと逆向きにネジを切った切削工具になります。こちらは電動ドライバーを使う前提の工具です。

下穴を開ける下穴ドリルと、ネジを抜く逆ネジの専用ビットが揃っており、様々なネジサイズや場面に対応できるのが利点です。

なめたネジはずしの使い方

まず、折れたネジの中心付近にに、下穴ドリルで下穴を開けます。

ビットを裏返して電動工具に付け、逆ネジ部を左回転(ネジを抜く方向)で下穴に打ち込みます。

ビットが折れたネジにかみつき始めたら、ゆっくりとした回転で大きいトルクをかけるとネジは抜く側に回転します。

回り始めてくれれば、あとは抜き去るまで一気です。

電動工具を持っている方は、なめたネジはずしが最初の選択肢になるでしょう。

なおこの方法では、ネジに下穴を開けるため金属の切削粉が出ます。金属粉が飛んでも良い場所か、事前に確認しましょう。

エキストラクター

約M3からM24(ネジ径3mmから24mm)までの、細いネジから太いネジまで対応できる、エキストラクターという工具で折れたネジが抜けます。

なめたネジはずしビットと同じく、通常のネジと逆向きにネジを切った切削工具です。

抜きたいネジに新たに開けた下穴に刺して、左回転(ネジを抜く方向)に回すと、エキストラクターは逆にネジにガッチリとかみつき、折れたネジを回転させて抜き去るしくみです。

引用元: ホームセンターナフコ

抜く作業は手動で行うのですが、先に折れたネジに下穴を開ける必要があるため、電動ドライバーと金属用ドリルビットが必要です。

エキストラクターの使い方

まず、折れたネジの中心付近に下穴を開けます。

その後、エキストラクターを下穴に打ち込み、タップハンドルやタップホルダで保持します。

そして、左回転をさせて、ゆっくりとネジを抜き去ります。

古いネジでもろくなっている場合は、再び折れないようにゆっくりと行いましょう。

手作業でできるので、刺さった木材の状態やもろいネジの動きを指先で感じつつ、このままだとなんかマズそう!と感じる違和感があっても止められます。

作業中に気づけず、ねじが半分出てまた折れたりする事態の悪化を防ぐ効果もあります。

ボルトの付け外しを多く行う自動車整備の方は、車体のネジ位置は決まっているため折れたボルトは確実に抜く必要があります。そこで車に使われるボルトサイズごとにサイズの合ったエキストラクターを使います。

セット品では、細いネジに適合した細身のエキストラクターが含まれないことがあります。入手時にはご注意ください。

ちなみに、エキストラクターを手動ではなく電動工具に装着して使うことを前提とした、六角軸のエクストラクターも存在します。

関連する情報

→そもそも、木ネジが折れやすい理由

まとめ

ねじが木の中で折れてしまうと、頭が真っ白になりますよね。

途中でやめておけばよかった、などと思っても、もう折れたものは仕方がありません。

世の中には同じような目にあっている方は多く、お助けする工具もありますので、気を取り直して先に進んでいきましょう。